「デザイン」という言葉を聞くと、その商品やサービスの見た目などのビジュアル的要素や、特徴などをイメージする方が多いでしょう。確かに、美しさや個性を可視化して、ビジュアルとして表現することは「デザイン」にとって大切な要素となります。
しかし、マーケティングを加味して「デザイン」を考えると、その領域はとても広いものになります。
当記事では、高品質なデザインを作ることに重要となるマーケティングとデザイン思考について解説していきます。
マーケティング視点でのデザインの考え方
マーケティングでは主に下記の順でデザインに取り掛かります。
顧客ニーズの把握
顧客にとって必要な特性や機能の考察
ターゲットに適したビジュアル表現
そのため、デザインを作成する際には、どのような意味やコンセプトがある商品/サービスなのかを明確に表現することが大切です。
ユーザーの気持ちを動かすことができるか
ビジュアル面におけるデザインには2つ、大きな役割があります。
ターゲットユーザーに与える第一印象
ターゲットユーザーに与える情緒的価値
情緒的価値とは、「その商品を使用したことでどのような感情になるか」といったことをイメージさせる価値です。そのため、どれだけ商品/サービス自体のクオリティが高くても、デザインの構成が適切でなければ企業がユーザーに伝えたい価値は届きません。
デザインはコミュニケーションツール
企業が伝えたいメッセージ、商品に抱いてほしいイメージを整理してデザインを作成することが非常に重要です。デザインの本質であるさまざまな役割、特に「コミュニケーション」に重点を置くことで、より成果に繋がりやすいマーケティング戦略が見出せるようになり、高品質なデザインを作ることが出来ます。
良質なデザインとは
顧客と企業の効率的なコミュニケーションに大きく貢献します。ユーザーとのコミュニケーションの機会が増えれば、商品/サービスのイメージが浸透しやすくなり、ブランド力の維持や向上、さらには話題性にも結びつきやすくなります。
マーケティングにおけるデザインの役割
マーケティングにデザイン思考を取り入れるとき、もっとも重視すべきはターゲットの視点です。マーケティングの領域において、デザインが果たす役割は主に6 つ挙げられます。
それぞれの役割をよく理解しておけば、思うような効果が出ずに修正が必要になった場合でも、改善やブラッシュアップがスムーズにできるようになります。
デザインが持つ重要な6つの役割
マーケティングにおいて、デザインが持っていて且つ、果たしてくれる重要な役割には主に次の6つに分けることができます。
コミュニケーション
コンセプトの伝達
経験価値の創出
ブランドイメージの確立
差別化
購買意欲の後押し
コミュニケーション
見込み顧客がリピーターとなり、さらにファンになってもらうためには効率よくコミュニケーションをとり続けることが必須です。その手段となるのがデザインです。
そして商品/サービスの魅力が的確に、瞬時に伝わればより成果に繋がることができるマーケティング活動が可能となります。ユーザーに起こしてほしいアクションを促進するための動機づけを意識しながら、ユーザーが求めている情報を的確に発信するようにしましょう。さらに、ユーザーが目的の情報へスムーズにたどり着けるナビゲートの配慮も必須です。
コンセプトの伝達
商品/サービスをどのようなシーンで使用するのか、どのようなユーザーに向けての商品なのかといったコンセプトは、ブランド力の強化に必要です。ブランドや企業の世界観に沿い、商品/サービスに適したデザインを設定すれば商品のコンセプトは正確に伝わります。WebサイトやSNSなど、異なる媒体でブランドの世界観を統一することにも意識しましょう。イメージに一貫性を持たせることで、ユーザーからの信頼を得やすくなります。
経験価値の創出
商品/サービスの所有を価値とする「モノ消費」から、商品/サービスを通して得た経験や体験を価値とする「コト消費」に価値を感じるユーザーが増えました。そのため、意図的なマネジメントで経験価値を発信・提供することも、重要なデザイン要素となります。
魅力的なデザインの商品/サービスには経験価値が付与されています。だから心理的な満足感に結びつきやすくなり、顧客ロイヤリティの向上によるメリットにも繋がっていきます。
ブランドイメージの確立
ブランドに対してどのようなイメージを抱くかは、ユーザーによって様々です。実際に商品を利用して得たイメージと、企業が意図的に発信した広告や情報から得るイメージで印象が大きく違うことはよくあるケースです。
ブランドイメージは、企業スタイルの確立を土台に形成されます。商品/サービスを購入したり利用したりすると、どのような利益や恩恵を得られるのかといったストーリーを地道に展開していくことも、ブランド力の強化には必須です。コアファンの育成は、企業の認知度拡大に繋がります。
競合他社との差別化
ひと目見ただけで記憶に残るようなインパクトのあるデザインは、競合他社と差別化を図ることに効果的です。他社の商品/サービスとの差別化を明確にする時は、ビジュアルデザインで一瞬でオリジナリティを感じてもらえる工夫は必須です。
他社商品では得られない価値ある商品/サービスだと位置づけることができれば、競争優位性の維持に効果的です。市場で商品/サービスの価値が高まるとリピーター、さらには新規顧客の獲得に繋がっていきます。
購買意欲の後押し
多すぎる選択肢を目の前にすると決断力が低下し、選択しないという行動や決断をしてしまうことがあります。これは決定回避の法則と呼ばれます。この法則をうまく活用してユーザーの行動を促す方法もあります。ターゲットユーザーを限定して、ひとつの商品/サービスをアピールします。すると、決定回避の法則を働かせずにターゲットユーザーの購買意欲を後押しできるようになります。このような発想も、高品質なデザインを構成する大切な要素です。
マーケティング戦略とデザインの関係性
どんなに優れた商品/サービスでも、先ずはユーザーに認知してもらうことが最重要項目です。認知されない限り、一切の成果に繋げることができません。商品/サービスの印象を決めるデザインは特に、プロモーションにおいて重要な役割を担っています。
ここでは、よく用いられる7つのプロモーション施策を解説します。
Webサイトの活用
スマートフォンやパソコンを通して24時間365日、いつでもどこでも自由に閲覧できるWebサイトは、ユーザーにとって最も重要な媒体であり場所となります。そして企業にとっても、最も重要なメディアとなります。
Webサイトは、ユーザーが一番最初に目にする機会の多いブランドツールです。そして企業価値を判断する材料となるため、初期投資を誤らなければ貴重な資産へと成長します。そのためWebサイトは、BtoBビジネスをしている企業には必須です。
ロゴデザイン
魅力のあるロゴデザインは、ブランドイメージの周知・浸透を円滑にしてくれます。
ロゴはユーザーが一番最初に目にするブランドデザインです。そのため、ブランドそのもののイメージを決める要素を多分に持っています。目指す方向性を明確に提示してターゲットユーザーだけでなく、幅広いユーザーに認知してもらえるようになれば、ロゴそのものに存在価値が生じます。転じて、ロゴが資産となります。
パッケージデザイン
店頭やオンラインでユーザーが商品を直接購入しようとするとき、ブランドのイメージを伝えるツールとしてパッケージデザインがあります。商品自体が魅力的であることはもちろん、その商品を包むパッケージが魅力的で、ブランドの世界観を表現していることで、ユーザーは安心感を覚えます。そして、よりブランドの世界観に没入するようになります。
販促デザイン
ノベルティやグッズはユーザーに、企業風土やブランドデザインに、より世界観に没入してもらうための最適なツールです。商品/サービスのグッズはファンになってもらうために有効です。クオリティの高いデザインであれば、さらに印象を上げユーザーや見込み顧客に良い印象を与え続けることができます。
動画の制作・発信
売上の向上やブランディング、採用強化などの目的で動画を活用し宣伝することは、スマホやSNSが一般的になった今では非常に有効です。会社や商品の魅力を紹介して、認知度や購買意欲の向上を狙うことが可能です。
動画はアニメーションや音声、テロップなど表現方法も豊富で、文字や静止画よりも多くの情報が伝わりやすいため、さまざまな場面で活用できます。
展示会・イベントの開催
展示会やイベントは、顧客との接点を創出し、自社の魅力を直接売り込める場であり機会となります。そして、より多くの見込み顧客に商品/サービスをアピールするためには、集客を成功させなければなりません。ブースデザインも来場者にブランドの世界観を伝える重要なツールとなります。
キャラクター制作
ブランドアイテムや企業にとってキャラクターは、ユーザーに親しみを持ってファンになってもらうきっかけになります。キャラクター自体が魅力的で個性的なデザインであれば、キャラクター自体がコミュニケーションツールとなり、貴重な価値を持つようになります。見た目だけでなく、性格や背景設定など一貫したキャラクター性も必須です。
まとめ
デザインは、見た目も大切ですが単純に美しくするためだけの装飾ではなく、価値を適切に伝えるための手段/機能でもあります。私たちは、デザインには見た目も機能も、両方とも大切だと思っています。これらの「手段」と「機能」、そして「見た目/装飾」のバランスが整ってはじめて、集客や認知度がアップします。そして売上アップへと繋がっていきます。今回の記事があなたの企業やビジネスのお役に立てれば嬉しく思います。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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