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執筆者の写真saygo

デザイナーという仕事、とその役割について

こんにちは。HS広告スタジオの日置です。

今回も僕達のHS BLOGに来ていただき、ありがとうございます。


僕、日置は今「広告ディレクター」という肩書きでお仕事を受けています。他にも「写真家」の肩書きもありますが今回は「写真家」は忘れてください。ディレクターの目線で今回のブログ記事を書いていきますね。


お客様だけでなく、友人や知人と話していても僕が携わっている「デザイナー」に対して、意外と良いイメージを持たれている人が多くいます。ありがたい限りですが、実際のデザイナーの働き方や現場でのことを話すと「へぇ〜!」と驚かれることも少なくありません。


そんなデザイナーの実体を知って驚かれたことが今回、書こうと思ったキッカケです。




簡単な僕の紹介です

僕は元々デザイナーでした。と言っても今でもデザインの現場で、ひとりのデザイナーとして手を動かす事も多々あります。ホームページ、販促デザイン、ロゴデザイン、パンフレット、と多岐に渡り作っています。元々、印刷会社のデザイナーから始まり、制作物や内容が多岐に渡っていたので得手不得手に関係なく作っているといつの間にか、一通りのデザイン物は作れるようになっていました。




デザイナーって何をしているのか

そもそもデザイナーが何をしているのかということですが、一般的に「デザインをする」は「見た目を作る」という意味で使われていると思います。


確かに側から見れば「作っている」ように見えます。確かに作っています。カッコいいとか、可愛いいとか、スタイリッシュ・ポップ・クール、なんてキーワードがお客様からたくさん出てきます。それを目に見えるようにしています。


雑誌やパンフレット、ホームページなどの目に見えるビジュアルデザインを作る時もあれば、キャッチコピーなどの様に耳で聞いても解るもの、パッケージなどの手にとって肌感覚で楽しめるものなども作っています。


でも本当のデザイナーの役割は違います。デザイナーの役割は「ビジュアルや成果物を作る」とはもっと別の所にあります。





デザイナーの本当の役割

課題/問題点を見つけて解決案を生み出し、それ(ら)をカタチにする


これがデザイナーの本当の役割だと僕は考えています。でもなかなかこの本当の役割が為されていない事も現実としてあります。大きな原因としてはデザイナーのキャリアパスやデザイン業界の構造にあると僕は考えています。今のデザイン制作業界の構造と制作までの流れを見てみると、


企画・立案はディレクターや広告代理店が考える

作るものが決定する

デザイナーがカタチを作る(だけ)


となります。これは本当に往々にしてよくある制作の流れとなります。でも僕が考えているデザイナーが本来の役割を果たした時の流れだと、


企画・立案から参加する

デザイン戦略を考える

企画をプレゼンする

デザインをカタチ作る


となります。この流れをこなせるデザイナーは少なくありませんし、実際にやっているデザイナーの方も僕は知っています。でも現状としてはなかなか見受けられないことがあります。どうしてなのか?




デザイナーのキャリア形成

デザイナー業界のキャリアパスに影響していることが多いと思っています。本来デザイナーは広告や販促ツールを作る時に、配色やコンテンツ構成、コントラストの対比策定、全体のバランス調整をして、デザインを作っています。ビジュアルを統括的に作っています。


だからといって作ったものがそのままお客様に採用され世の中に発信されることがありません。作った後に必ずといっていいほどお客様の目に入る前にディレクターのチェックが入ります。他にはプロデューサー、マネージャーといった役職者のチェックの場合もあります。


デザイナーというのはある程度経験して、実績を積み重ねていくとディレクターなどのポジションになっていく事(人)が多々あります。そのディレクターも、


アートディレクター

クリエイティブディレクター

マネージャー


の様な段階があることもあります。


そして僕が思う問題点はここにあります。大きな問題点です。




デザイナーの経験がなくても

僕が肩書きとしているディレクターで説明しますね。


ディレクターの役割は組織やプロジェクトチームによって多少違いもありますが実は、デザイナーの経験がなくてもなれます。そう、デザインをしたことが無い人でもなれます。ディレクターは、デザイナーをディレクションし、デザイナーよりも高い(広い)視点でプロジェクトや制作案件をまとめて動かしていく人です。顧客とのコミュニケーションも多く持つことになります。


  • ちなみにディレクションとは、監督・演出・指導・管理といった意味を持っています。


デザイナー経験が無い人がディレクターをやり始めると、デザイナーと衝突することが多くあります。ディレクターにとって大切なスキル、必須といっても過言ではないスキルはコミュニケーションですが、それを持っていても衝突することが多々あります。




経験でしか解らない事

コミュニケーションに長けて、制作物に対する知識も豊富で、監督するスキルも高いディレクター。でもデザイナーの経験がないディレクターには一つ欠点があります。


正確な見積もりが出来ない、ってことです。


全体を把握するスキルは長けていても、どのデザイン制作工程にどれくらいの工数がかかるかといった細かい工程を分かりきれていない事が多くあります。イラストを描くのに本当に必要な時間はどれだけなのか、文字打ちから文字バランス(行間、字詰め)までの必要な時間はどれくらい必要なのか、他にもありますが、デザイン制作の現場の委細は経験しないと分からないことは実際に多々あります。


そして次の項でも書いていますが、仕事は生き物なので、進めている時に最初に思っていた通りとはいかない場合、より良きものにしていく場合に変わる/変えるモノゴトも発生してきます。その時のデザイナーの動きも予算や範疇を想定する必要があります。


デザイナーも経験年数によってスキルは変わってくるし、経験年数だけでは判断出来ないこと、例えばそのデザイナーの本当の得手不得手もあります。いくら経験年数が長くても、実績数の少ない業界のデザイン制作では時間もかかってしまいます。全体を見る場合、案件やプロジェクトの全体だけでなく、関わるデザイナーやライター、エンジニアのパーソナルな部分も理解し把握しておく事がディレクターには必要となります。


これらが分からないと正確な見積りは出来ないんです。




デザイナーの現場

ディレクターの話が長くなり脱線してしまいました。


デザイナーは制作している時、トンマナがあったとしても「あれ?もう少し色味を●●した方がよくない?」とか、「このイラスト(キャラ)の表情はもっと鮮やかにした方が」とか、成果物が出来上がるのを見続けているため、ラフデザインやワイヤーフレームだけでは分からなかった/見えていなかったモノゴトや、実際に手にしたり目に触れた時のリアルな細かい部分に気づき始めます。


そこで、どうすればより良く魅せる事が出来るかを、ディレクターなりプロデューサーなりに「デザイン案」として打ち出し、提案していくのです。この「如何により良く魅せるか」といったデザイン(ビジュアル)戦略を実際の現場で行っているのがデザイナーです。


デザイナーは、デザイン制作と同時に生きたデザイン戦略を生み出すことが出来るのです。


だからこそ、デザイナーは最初の企画・立案から参加する必要があると僕は感じています。最初の工程に参加していれば、依頼案件の本質的なことに寄り添ったデザイン戦略も立てやすくなります。




本来のデザイン戦略

僕は、デザインとブランドが接していることが少ないと感じる事が多くあります。このデザインとブラントというものは切っても切り離せない関係だと考えています。そしてブランドはいつ如何なる時も会社やサービス、商品といった主役として発信するコンテンツのど真ん中にあるべきだと思っています。


プロジェクトに携わっている人誰もが、お客様が目的としているモノゴトに向かう時、どの道程を通ってどの様に到達するか、その目的までのストーリーを語れる様にすることが僕が考える本来のデザイン戦略です。


そしてそのストーリーのビジュアル化=見える化をデザイナーは現場で創っています。




デザイン戦略とブランディング

「ブランディングはなぜ役に立つのか?」


この問いに対する答えとして、


  • イメージを統一して伝えられるから

  • ビジュアルとして印象を伝えられるから


が多いと思います。でも僕はそれに加えて、


  • 問題解決ができる

  • 経営・事業を成功へ導く戦略となる


もあると考えています。そしてこのブランディングは「デザイン戦略」があるから立てられることでもあると思っています。単純にカラーを決めたり、書体を創ったり、キャッチを作ったり、イメージを統一するだけではブランディングとはなりません。デザイン戦略を基盤にしないと立てることは難しいです。





まとめ

デザイナーが現場でしていることは、単純に見える物をデザインしているのではなく、お客様の目的に向かっていけるストーリーをデザインしていると言っても全然過言ではないと僕は思っています。


デザイナーのキャリアパスに問題はあるものの、デザイナーを経験して、デザイナー兼ディレクターとして活躍している人もいます。ディレクターになるとデザイン以外にやるべき事が多くありますが、デザイナーを経験していれば、ミニマムなことからマキシマムなことまでを俯瞰して見る事が出来るため、大概なことはやれていきます。


またデザイナーのまま、ディレクターをこなしている人もいます。僕はどちらかと言えばこのタイプになります。


兎に角、デザイナーというのはお客様の「なりたい」とか「やりたい」を叶えるためのストーリーと作っているため、とてもやりがいのある職種だと僕は思っています。


そして、依頼してくださったお客様に喜んでもらえることも多いため、なかなか有り難い職種だとも感じています。脱線も多くなりましたが、デザイナーといった仕事(人)の事が少しでも解って頂けば、嬉しく思います。


今回も最後までお読みくださり、ありがとうございます。


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