ブランディング専門のデザイン事務所として、Web周りのご相談やご依頼をお受けしている僕たちが感じることは、どういった内容のご相談やご依頼でも本質的な部分は一緒だということ。その本質的な部分は、(ビジネス)コンテンツの価値・魅力の充足度アップ。
そして僕たちは、Webを中心としたブランディングを主軸にお客様のサポートをしていますが、マーケティングの要素も加味したケースも少なくはありません。そこで僕たちがマーケティングの中でも本質的に大事だと考える、コンテンツマーケティングを、僕たちの視点で紹介していきます。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、価値あるコンテンツの制作と情報発信によって、見込み顧客のニーズを育成し、最終的にはファン(リピーター)になっていただけるまでをめざすマーケティングの手法の一つです。ポイントは
価値あるコンテンツの作成
顧客/見込顧客を育てる
ファンになってもらう
の3つです。商品やサービスに対する理解度や認知度がすでにあるお客様をターゲットとする手法とは違い、まだ認知度が低い、知られていない「潜在層」に対し、コンテンツを通して先ずは自社の存在を知ってもらい、段階を踏んで商品の購入やサービスを受けてもらうまでを押し進めることに重点を置いていることが特徴です。コンテンツマーケティングとは単純に一つのツールや手法を示す言葉ではなく、段階的なマーケティングプロセスを構築するための「考え方」と言った方が理解しやすいと思います。
情報化による環境変化
インターネットが日常的となった今では、消費者は、知りたいコトや欲しいモノの情報 を「自分から積極的に探す」ことができます。知りたい情報はテレビ広告や店頭よりもネットで検索され知られることが多くなっています。これまでのテレビCMなどのマス広告、(リンク)バナーなどのネッ ト広告、テレアポ型のセールスなどの、売り込み型の手法は今では通用しなくなりつつあります。
今まで「より多くの顧客に会うこと」「より多くの接点を持つこと」が大事とされてきたと思います。でも今では、「なぜ用事もないの(いきなり)来るのか?」と思われることが多くなりつつあります。これまで営業に携わる人は外に出て足を運んで情報を収集していたと思いますが、今では多くのことはインターネットで調べれば事足りるようになってきています。
ZMOTを知っておこう
覚えておいて損はしないマーケティング理論があります。それは、
ZMOT(ジーモッ ト、Zero Moment of Truth の略)
これは、「顧客は店舗に足を運ぶ前に、インターネット上で購入する商品をすでに決定している」とした、Googleが提唱しているWebマーケティング理論です。今後、ZMOTを意識してWebでの情報発信を積極的に取り組んでいかない企業は、顧客獲得の面で競合他社と比較して大きく不利になっていくことが大いに考えられます。
コンテンツマーケティングのメリット
1. 専門家として信頼される
コンテンツマーケティングを構築し、コンテンツとその情報を発信をし続けていくことで、自社が「専門家」として認識され、信用されるようになります。またさらに、顧客が興味を持つ情報を継続的に発信/提供を続けることで、「まじめな会社」「専門性のある会社」として認識されやすくなります。
2. 資産効果
コンテンツマーケティングには「蓄積効果」があります。一度発信した後はコンテンツ自体の情報価値が失われないかぎり機能し継続し続けます。コンテンツを増やすごとに顧客との接点が増え、費用対効果は改善していきます。効果が出るタイミングは業種や商材で違いはありますが、取り組みを重ねるほど効果が出て、ビジネスが成長したり改善していくことはとても大きなメリットです。
3. 自然な形の拡散
情報発信が自然な形で拡散できるようになります。インターネットや、さらにはソーシャルメディアやSNSを介して、自然と発信している情報を目にしやすくなることにつながります。さらにコンテンツを読んだり見たりして、面白いと思って興味を持ってくれた人は、SNSなどでシェアをしてくれる可能性もあるので、口コミ効果が期待できるようにもなっていきます。広告に頼らなくても、自然と情報を拡散していけることも、コンテンツマーケティングの大きなメリットです。
4. 顧客のロイヤルティを高められる
顧客ロイヤルティを高められます。顧客に役に立つ情報を提供し続けることで、上記の「真面目な会社」の他に、「いい会社に違いない」という印象を与えることにもなっていきます。ここで言うロイヤルティは「愛着」の言葉に置き換えると解るかと思います。ロイヤルティが高まると、例えば、他社と比較検討がされにくくなる、価格競争に巻き込まれにくくなる、継続発注をもらいやすくなる、などがあります。
代表的なコンテンツ発信の手法
コンテンツマーケティングで扱うコンテンツには実にさまざまなものがあります。ここでは、代表的で有効的な手法を2つ、紹介します。
1. ストック型メディア「ブログ」
ブログの最大の特徴は「コンテンツの蓄積」です。僕たちはブログ記事と言っていますが、このブログは1つひとつがWebページとしてサイト上に蓄積されていくため「ストック型」コンテンツと呼ばれています。コンテンツ(ブログ記事)が増えれば増えるほどサイトが充実し、Googleなどの検索エンジンからの評価も得やすくなっていきます。そして誰でも気軽に、立ち上げられることはとても大きなメリットです。
1-1. 補足
SNSのFacebookやTwitter、Instagramなどは投稿内容がタイムライン上をどんどん流れていくため、「フロー型」コンテンツと呼ばれます。コンテンツマーケティングを行う時に「SNSだけではダメ?」という質問がありますが、「ストック型」のブログを「フロー型」であるSNSで公開(リンク)することにより、さらに多くのユーザーに広めるという使い方を僕たちは提案しています。
2. 動画活用
動画(映像)もコンテンツ発信として非常に大きな役割を持つようになってきています。理由としては次の3つが挙げられます。
高画質・大容量の動画コンテンツの送受信が可能となったことです。通信回線の高速化と、それに伴う動画投稿サイトの拡大も理由になっています。
低予算で導入可能な制作ツールの普及です。スマートフォン単体でも4K動画が、動画撮影から編集まで可能となっています。個人でも企業利用に充分な品質の動画を制作出来るようになっています。
そして、マルチスクリーン化も大きな理由となります。テレビだけでなくスマートフォンやタブレットなどのモバイル、さらには駅や公共施設のデジタルサイネージ導入がきっかけで、人が動画や映像に触れやすくなる環境が街中に広まっていることがあります。
戦略的要素が必要
コンテンツマーケティングを行う時に重要なポイントとして、「どのような課題を解決したいのか」ということを明確にすることです。そしてその課題を解決している会社で共通しているのは、長期間にわたってコンテンツマーケティングを実施しています。僕たちは最低でも半年、できれば2年くらいは腰を据えて取り組むことが必要だと思っています。大切なことは、目的(KGI)をしっかりと定義し、その目的にたどり着くための段階的な指標(KPI)を設定することです。
ペルソナを設定しよう
ペルソナとは「商品やサービスを買ってほしい」顧客を細かく設定した理想の顧客像です。ペルソナを「理想の顧客」として、社内やマーケティング事業内の関係者で共有すると、各個人の「思いこみ」や「勘」からくる、間違ったコンテンツ発信を防ぎ、情報発信のブレをなくすことができます。
カスタマージャーニーを作ろう
コンテンツマーケティングの効果的なアプローチとして、カスタマージャーニーマップというものがあります。カスタマージャーニーマップとは、見込み顧客が自社の製品やサービスを認知し、さまざまな接点を経て興味を持ってもらい、購入に至るまでの一連のプロセスを旅(ジャーニー/journey)にたとえた図(地図)のことです。
このカスタマージャーニーは、個人向けでも法人向けでも、様々な商材に適用できますが、購入までの検討期間が長く、段階的な接点が多い法人向け(BtoB)に特に有効となります。
ビジネスブログで始めよう
コンテンツマーケティングにおいて、ブログはオウンドメディアの中心、情報基幹として機能する重要な存在となります。ビジネス要素を多く含ませたブログ構築にあたって押さえておきたいポイントとして下記の3つがオススメであり、有効となります。
回遊性。コーポレートサイトとブログ相互の移動が簡単であること、カテゴリーや人気記事などを読みまわりやすくレイアウトされていることが必要です。
ソーシャルメディア(SNS)対応。ソーシャルメディアのシェアボタンがブログ内で判りやすくに設置されていること。
CTA(行動喚起)の用意。CTAとは資料のダウンロードや商品ページへの案内/誘導など、ブログ読了後に読者に取って欲しい行動への誘導経路のことです。
文章の構造や物語を整える
読みにくい文章、解りにくい多くの文章には共通の特徴がよく見られます。文章に「構造」と「物語(ストーリー性)」がないことです。内容が色々な話題に飛んで解りにくく、言いたいことが何なのかわからないということが多いです。さらに具体例がないので納得感がないなんてことも少なくありません。情報(内容)を整理整頓して文章を構造を整え、物語を組み立てれば、読みやすく解りやすい文章を作ることは可能です。
さいごに
どれだけ良質なコンテンツを作り発信しても、見つけてほしい人に、見つけてもらわないと、コンテンツを作った意味はなくなるし、コンテンツマーケティングとして成り立ちません。次回は、コンテンツを「見つけてもらえる」方法を紹介いたします。今回はコンテンツマーケティングの重要性と、マーケティングにもブランディングにも本質的となる「コンテンツ」が如何に大切かを理解していただけたら嬉しいです。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。